昨日からスタートです

何が究極なの?
これが答えです

4人の職人のスペクタクル
★逗子の誇る とちぎやさんの
豆腐👉
豆腐★高知の自然農法で作る吉本さんの
生姜👉
生姜★枕崎のプロフェッショナル瀬崎さんの
かつお節👉
かつお節★和歌山で日本古来の作りを守り続ける 堀河屋野村さんの
醤油それぞれ訪問記のリンク(👉)貼ってみました
お暇つぶしによろしければご覧ください
「あれっ? 醤油屋さんは行ってないの?」
ようやくようやく先週伺えましたので以下 備忘録です
和歌山は御坊(ごぼう)市 海にほど近い開けた場所に

心地よく佇む 堀河屋野村さん
江戸 元禄時代に行われていたまま 全行程が薪で行われています

18代目の野村圭佑さんが 懇切丁寧に熱く
醤油とは何ぞやを教えてくださいました

お手元にある醤油 どうやって出来ているかご存知でしょうか?
今現在 8割が こちら↓脱脂加工大豆 と名付けられたモノを原料に作られています

戦後に肉食化が進み→油が必要なり
→大豆から油を取ってカスが余る→何か使えないだろうか?
そこから醤油へ といった歴史的背景があります
このカスは 世界中、鳥豚牛の飼料として使われていますが
それでも油の需要が高く余ったということでしょう
このカスのことを“脱脂加工大豆”と呼び、安価なものが流通した
逆に本物を区別するために“丸大豆醤油” とあえてうたうようになった
見るからに聞くからに・・・ネェ…
堀河屋野村さんでは「どんな工程の時でも1番旨いと思っているものを使う」
をモットーに 大豆は 十勝で昔から作られている “はやひかり”を使用しています

大豆の煮蒸しは 醤油の味を左右します
蒸し具合は 経験と感覚 温度計は無く 目と舌で仕上げるそうです
※いつものことですが 自分への備忘録兼ねてるので文章乱雑です※
徑山寺味噌も製造していますが 各々の麹を季節に応じて1番適した時季に仕込みます
日本酒と似ている醤油作りは 10月から5月まで 70回麹を作るそうです
4日連続培養 月水金の仕込み
月曜朝一に大豆が炊けてないといけないので 前夜10時くらいから薪焚き
薪の材を変えながら 火持ちのいいヒノキ 針葉樹広葉樹…
約5時間水に漬けておいた丸大豆を 約5時間かけて蒸します
夜中1時半くらいにボコボコきたら 寝る そんな生活だそうです
大豆を煮るのを薪で行うことだけでも「エェ…」なのに
小麦

の焙煎ももちろん薪 大きな焙烙(ほうろく)の上で
立て掛けてあった箒で15分くらい 手間を惜しまず炒ります

元はみんなこのやり方だったそうですが 今は野村さんだけだそう
水分を抜くこの工程は 急ぐと焦げてしまいます
醤油の香りを左右するのは この小麦焙煎の過程だそうです
煮蒸した大豆と 焙煎して砕いた小麦 と種麹を
“土俵” と呼ばれるこちらで混ぜます

水分量と温度が大事 と呼ばれる麹 40~45度が適温なのですが
煮た大豆(温かくて水分有り)と 粉砕した小麦(常温で乾いてる)を
合わせたものをどうやって水分・温度計るのでしょうか?
答えは 手
2つしかないこの手は最高のセンサーだと仰ってました(シビレます)
混ぜ合わせたものを板=麹ぶたに盛り付け 麹室へ

麹室は例えるなら 産婦人科
麹はまるで赤ちゃんのように面倒を見てあげなくてはならないのです
麹が育ってくると発酵によって熱が生まれます
どんどん暑くなって麹菌が死なないよう手入れ=攪拌作業 放熱作業を朝夕1日2回
温度を下げながら 水分を飛ばすのだそうです それでも薪(中央)を使用します
熱を下げる為の窓は 日本酒の麹室ではありえなくて興味深かったです
雨の時は大豆を固めに炊いたり 麹ぶたの位置を移動したり(上や下 入口側から出口側)
ここでも人間の感覚を フル稼働していました
そうして育ってきた麹への愛はもう・・・

「黄色っぽくちょっとふわっと菌が見えるでしょ?これが美しくって」
愛おしそうに眺める野村さんを見ていて 発酵産業の共通の愛を感じました
(かつお節の瀬崎さんや日本酒の蔵人さんたちの 育つ菌への愛)
4日間育てた麹と塩水を 木桶に入れて仕込みます

貫禄のある木桶は なんと180年 (新しいものでも60年)
乾くのが良くない木 塩水で ずーーーっと仕込み続けてるからもつんだそう
「お客さんが使ってくれるから 10本(木桶すべて)作り続けられる」
醪(もろみ)をふた夏かけて熟成させる間に 強くイイ菌が木桶の穴に付着

木桶の回りには 酵母菌の結晶が・・・
搾って使い終わった木桶は たわしでこすって、塩水で雑菌流して塩水をはるそう
「酵母菌は生きている 木桶は土壌みたいなもの」ワイン業界とも通じます
桶にも天井壁にも 蔵付き酵母の生命を感じました
二年経ったら小さな袋に入れ こちらの舟で搾ります

醤油業界では あげると言うそうです(ふねあげ)
この状態が生醤油(なま・き)と言われるもので
生揚げ(きあげ)をこちらで

濾過して
大豆を煮蒸ししたあの釜で火入れして完成です(この鉄釜は愛知から)

生揚げの状態はくすんだ味噌汁みたいと表現していました
火入れをしないと酵母菌が含まれて温度と光で酵母菌が浮かぶ
→膜ができる→産膜酵母(しば漬けの仕込みを思い出しますネ)
→味わい・香りが落ちるから火入れをする
「火入れ(82~87℃位)するとシャープになり コクが出て一気に醤油になる
コレがうまいからうちは一本でいく」一本筋が綺麗に通っているなと感じました
ちなみに約85℃の加熱の際にも温度計はなく
「数字・時間に頼るな プライドをもて」
というお父様の職人技が引き継がれています

香りと灰汁を見て判断するんだそう(イリノザトウを思い出します)
(ちなみに 三ツ星醤油の背面には 本みりんの表記がありますが
鍋肌に薄くみりんを塗ってから炊くと焦げないため
1000ℓに一升2本くらい使用しているそうです
0.5%ほどのなので表記義務はないけれど昔からだから明記していると)
代々受け継がれてきた 素晴らしい日本の魂

あらためて 当たり前に使っている醤油を見つめていきたいです
野村さんありがとうございました!
素晴らしい職人さんたちの愛の手仕事を
店主が 敬意を払って一皿へ・・・
ぜひ風ら坊で “いただいて” ください
※徑山寺味噌も仕入れたので こちらもご期待!
※刺身醤油等で使用しているミツル醤油さんも近々行きます
お待ちしています
旅するizakaya 風ら坊
046-890-2470 🐾 🐾
どのお料理にもたくさんのまだ見ぬストーリーがあるんだろうなぁ
また旅に出たくなってきました